M-1グランプリ2019感想その3
正月も明けました。
残りの3組の感想をつらつらと書いていきます。
8組目オズワルド
ミルクボーイ大爆発の後、非常にやりにくい空気での出順。笑神籤からはオズワルドのくじが出ました。
ミルクボーイの爆発の後の観客に対しては、ゆったりとしたしゃべくり漫才の彼らのネタは、一気に空気を変えるのは難しかったようでした。しかし、ネタが進むごとに少しずつ観客から笑いを引き出していくオズワルド。中盤あたりからは拍手笑いも混じり始め、最終的には十分なウケ量で終わりました。ミルクボーイの大爆発の後に、ゆったりとしたしゃべくり漫才で最終的にしっかり自分たちの空気に戻したのは、実力がある証拠。一つ一つのボケもさることながら、ツッコミ伊藤の「間」が非常に良い。結成5年目ながら完成度の高いネタでしたが、なにぶん空気がミルクに白く染められすぎていましたね。。
「昨日いたかどうかだろ」
の部分なんてもっとウケてもよさそうなんですが。。。やはり出順による空気の変化も、M-1の難しい部分ですね。そこも面白い部分でもあるのですが。。
9組目インディアンス
残り2組となった終盤、賑やかで手数の多い漫才のインディアンスの出番となりました。田渕がひたすらボケ倒すスタイルで、どこでも一定以上のウケ量を保証する彼ら。からし蓮根と同じく個人的に期待していたコンビでした。
いつも通りネタ開始から、しっかり会場の笑いを積み重ねていきます。しかし、少し間がおかしい部分がありました。実は事後番組で判明することなのですが、田渕がネタを飛ばしていたようです。そのため入れておくべきボケを入れられておらず、本人達の想定したウケは確保できなかったようです。とはいえそんな中でも、まさかネタを飛ばしたとは思わせない出来で持ち堪えた彼らの底力には拍手。
しかしながら、点数はウケ量ほどは伸びきりませんでした。その一因として、前のミルクボーイやオズワルドが手数よりも一発一発でしっかり笑いをとるスタイルだったために、手数で押すインディアンスの笑いはインパクト不足のように評価されたのかもしれません。安定した実力のある彼らですが、一つのボケの爆発力が伴えば、今後またもう一化するかもしれません。
10組目ぺこぱ
今年のイロモノ2組目。と見せかけて、こちらもしっかりとした実力派コンビ。しゅうぺいの軽いボケを、全て肯定するツッコミの松陰寺。分かりやすいボケの後に、ツッコミがくるだろうという思い込みを裏切る、ノリツッコまないボケ(松本命名)。実際にはこの漫才にはツッコミはいないとも言えます。もしくは、観客一人一人がツッコミという、ピン芸やシュールなコント、漫才にありがちなツッコミ不在のネタ。ですが、ぺこぱの漫才からはシュールな印象はなく、ポップな印象を強く受けます。これは松陰寺の前向きでどこか憎めないキャラクターがなせる作る空気なのでしょう。人を傷つけない笑いが好まれる昨今では、大衆受けするであろうネタといえるでしょう。個人的には毒や偏見の強いネタは大好きですが。
そんなネタを引っ提げて、ラストに現れたぺこぱ。序盤は会場から松陰寺に対して少し壁があったように感じました。自己紹介から本ネタに入っても、一つ目のツッコミの時点では観客も困惑した笑いという印象。しかし、2つ目から観客が見方を理解してからは、エンジンがかかったように受け始めました。正面が変わったところで、完全に会場の空気を支配しました。実力者和牛をぺこぱがファイナルから押し出すなんて、大会前誰も思いもやらなかったでしょう。これがM-1のドラマチックで面白いところですね。
最終決戦では、ファーストに続けてぺこぱがネタをしたこともあってか、観客はウェルカム状態。彼らの見方もバッチリの空気で、はなから大ウケでした。おそらく、ファーストよりもファイナルの方がウケ量が多かったのはぺこぱだけじゃないでしょうか?トムブラウンのように、見方を理解してから見たほうが笑えるネタだったことも関係していると思います。
以上で全組の感想でした。今回ももたくさんの見所やドラマがありました。次の大会にも、最新の笑いを見せてくれるのを期待して2020年生きていきます。