漫才分析~ツッコミ編~
めっちゃ久しぶりの投稿になります。
体調不良やら、論文発表やらで少し更新が滞ってました。
その間に中川家のオールナイトニッポンを聞いていました。
その回はナイツがゲストに来て、漫才に関するトークが展開されていたのですが、その中で
塙「ツッコミってもしかしたらいらないのかなって思う時あります。」
礼二「漫談が成立してるんやからいらんのでしょう。」土屋「お客さんが気づくボケでお客さんが笑ってくれればいいわけですからね。」
塙「【強調してあげてる】みたいなことですもんね。」
という話が挙がっていました。
これは、「確かに」と再認識させられたものがありました。
しかし、昨今の漫才の中にはツッコミ不在では、ボケがそもそも理解できないという形式のものもあります。
そこでツッコミの形を私なりに分析してみました。
1.ボケ強調型ツッコミ
こちらは最もオーソドックスな形のツッコミですね。
シンプルなボケに対して、そこに勢いをつけるように訂正や怒りをぶつけるツッコミです。
THE・ツッコミ。「なんでやねん!」ってやつです。
このツッコミは大前提として、ボケが単独で面白い必要があります。
なので、笑い自体はボケを言った直後に起きます。
そのボケの面白さをより強調できるようなツッコミが必要です。
ボケ自体に自信がある時に用いられるので、ツッコミのワードを凝りすぎると少し情報が渋滞してしまいます。
なので、勢いよくスパッと一言でツッコめると良いですね。
2.ワードセンスツッコミ
こちらは先程のボケ強調型ツッコミとは売って変わり、弱めのボケに対してセンス溢れるワードによるツッコミを行います。
なので、ボケよりもツッコミによって笑いをとります。
現在はかなりこの型が増え、こちらの方が主流とさえ感じます。
そんな今から10年以上前に、この形によって衝撃を与えたコンビが、M-1グランプリ2004の南海キャンディーズです。
当時は「ツッコミで笑いをとる」という漫才師はほとんどいませんでした。
なので、強烈なしずちゃんのキャラに、山里のシャープなツッコミは新鮮に感じられました。
ツッコミで笑いをとる今の流行の火付け役は間違いなく彼らでしょう。
このタイプはボケがあまりにも面白すぎると、先程も言った情報の渋滞が起きます。
だからといってボケが面白くなくても良いわけではないので、そのバランスは非常に難しいと思います。
そのバランスが絶妙なのは銀シャリですね。
昔は鰻のボケはあまり面白くなかったのですが、M-1優勝の頃は、鰻のボケは単体でも笑える、なおかつ橋本のツッコミの邪魔をしない絶妙なラインでした。
今のあの2人のバランスは絶妙ですね。
見取り図も似たような型ですが、まだボケが少し弱いように感じます。
今後に期待ですね。
3.種明かしツッコミ
こちらは、新M-1チャンピオン霜降り明星に代表される型です。
この型は、ボケ単体ではイマイチよく分かりません。
しかし、ツッコミをいれることで、不可解な言動の意味が分かり笑える、という型です。
ワードセンスツッコミの進化系といえるかもしれません。
霜降りの優勝ネタから挙げると、「ボラギノールのCMか!」や「しょうもない人生!(走馬灯のボケ)」が分かりやすいですね。
この型はボケの情報を意図的に制限して、ツッコミで残りの情報を提示しつつツッコむことで、アハ体験的に「そういうことかい!」と笑わせるわけですね。
観客は情報の足りないボケを見た時に違和感を覚えます。
それと同時に「〇〇ってことかな?」「△△ってボケやろ?」と予想をたてます(勿論全く検討もつかずに「??」となる場合もあります)
ツッコミによってその違和感や疑問を解消するわけですが、ツッコミはその予想を超えたものないといけません。
予想がついてしまうものでは「やっぱりね」と呆れられてしまいます。
だからといってボケの情報を制限しすぎると、ツッコミの情報過多になりますし、観客がボケとツッコミを結びつけるのに時間がかかります。
その点霜降りは絶妙なバランスですね。
それどころか、後半は観客が粗品のツッコミに期待をして待っている状態でした。
ああなれば勝ちみたいなもんですね。
この型はネタの内容や構成に非常に強く影響されるので、同じコンビでもネタによって使ったり使わなかったりがあります。
なので例は近年のネタで使っているのを見たことあるコンビにしました。
4.同調系ツッコミ
本質的にはツッコミじゃないです。
ボケに対して深くツッコまずに乗ってあげるタイプ。
また、ボケのおかしな点は放置して、別の角度からツッコミをいれるものも一緒にしてます。
事実上のツッコミ不在なので、観客が心の中でツッコミます。
なのでボケはわかりやすいものが良いですね。
観客が自分自身でツッコむ必要があるので、好き嫌いが分かれやすい印象です。
ボケとツッコミの笑いの比率は、1と2,3の間くらいですね。
若手芸人に多いような印象です。
例)まんじゅう大帝国、Aマッソ、Dr ハインリッヒ
今の所思いついたのはこんなところです。
多分まだあるので、そのうち加筆します。
ちなみにこちらを歴代M-1チャンピオンに当てはめると
1→中川家、ますだおかだ、フットボールアワー、アンタッチャブル、ブラックマヨネーズ、チュートリアル、サンドイッチマン、ノンスタイル、パンクブーブー、笑い飯、トレンディエンジェル、とろサーモン
2→銀シャリ
3→霜降り明星
やはりオーソドックスが強い印象ですね。
しかし、最近になって2,3のチャンピオンがでてきていることから、新たな波を感じます。
4や新たなツッコミの形の新鮮なネタを見てみたいですね。